「お客様が満足しているのに売れない…」その理由と対策とは?

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投稿者:
代表理事
小沼 勢矢

今回のコラムでは「お客様に満足させてしまい、売れなくなってしまう理由」について、心理学的に解明していきます。 私、小沼がセールスの支援をする中でいただくご相談の中では「お客様に満足させすぎてしまって売れない」というものが意外と多いです。 例えばあなた自身がコーチングやコンサルティング研修を提供している方だとします。あるとき担当のお客様に商談が入り、どのようなステップで支援すべきかとアドバイスし始めると、「わかりました、今回の内容でだいたい落とし込めました。いちど自分たちで案件を進めてみます」と言われてしまった場合、何が起きているといえるでしょうか? この状態では、顧客の心理状態に「満足」が起きている可能性があります。 なぜ満足させてしまうのでしょうか。そして、満足させるとなぜ売れなくなってしまうのでしょうか。

この記事はPodcastでオーディオセミナー配信しています。
目次

今回のコラムでは「お客様に満足させてしまい、売れなくなってしまう理由」について、心理学的に解明していきます。

私、小沼がセールスの支援をする中でいただくご相談の中では「お客様に満足させすぎてしまって売れない」というものが意外と多いです。

例えばあなた自身がコーチングやコンサルティング研修を提供している方だとします。あるとき担当のお客様に商談が入り、どのようなステップで支援すべきかとアドバイスし始めると、「わかりました、今回の内容でだいたい落とし込めました。いちど自分たちで案件を進めてみます」と言われてしまった場合、何が起きているといえるでしょうか?

この状態では、顧客の心理状態に「満足」が起きている可能性があります。

なぜ満足させてしまうのでしょうか。そして、満足させるとなぜ売れなくなってしまうのでしょうか。

顧客の心理状況を見抜く方法については、「これが出来ると商談が変わる!セールスアブダクションで見込客の心理を見抜く方法」の記事に記載しているのでぜひ読んでみて下さい。

お客様の購買行動を喚起するためには「満足させないセールス」が必要

心理学的に説明しますと、「セールスパーソンの説明に満足してしまって、購買行動を起こさなくなってしまった」という状態の顧客の中では「心理的完了」が起きてしまっているといえます。

心理的完了が起きると、人は満足します。満足が起きると、購買行動には至らないというケースがあります。

あくまでもこの「購買行動」はセールスの現場におけるものです。一般的な役割としてコーチングなどを提供する際には、相手に満足していただく必要がもちろんありますので、顧客満足を目的とする場合もあるといえます。

今回コラムで取り扱うのは、あくまでもセールスという文脈における「満足」であることを念頭にお置きください。

満足してしまう、つまり心理的完了が起きてしまうと、人間は次の購買行動になかなか至りません。「満足させないセールス」が必要です。

そのため、ぜひセールスパーソンであるあなたには、「お客様に心理的完了を与えてしまっているのではないか」ということを常にチェックしていただきたく思います。

「満足させないセールス」とは?~ツァイガルニク効果を理解しよう

それでは、「満足させないセールス」とはどういうものなのでしょう。

それは先ほどお伝えした、心理的完了とは逆の「心理的未完了」の状態を作ることです。

この心理的未完了の状態のことを、専門用語で「ツァイガルニク効果」と言います。

例えば、あなたが好きなドラマやテレビ番組があったとします。視聴時に、次の予告に移るタイミングはどのようになっているでしょうか?

あなたがあるドラマの第7話を見ているとして、その話は恐らく「いいところ」で終わることでしょう。だいたい次が見たくなるような設計で終わっていませんか?

そして次回予告がものすごいインパクトで、「第8話でとんでもないことが起きるのではないか」と思わせる造りになっているでしょう。視聴者は「これは見逃せない、見逃してしまうと損だ」という心的状況になります。

心理的に「未完了」となっています

さらに、待ち遠しい状態で次の第8話を見ると、やはりいいところで終わって、第9話の次回予告があり、9話も観たいと思う。

第7話に引き続き、第8話でも心理的未完了を起こしています。心理的未完了は、マーケティングの分野でも使われることがあります

ほかに、バラエティ番組もCMに入る前「CMの後はこちら」という形で、次のコーナーを非常に魅力的に演出していませんか?まさに心理的な未完了を作っている状態です。

「次を見たくなる、聞きたくなる、知りたくなる」という心理的未完了、つまりツァイガルニク効果をセールスにも応用しましょう

相手に満足させてしまう人の特徴として、全てを話してしまい、相手の望んでいることをその場で解決してしまうというものが挙げられます。

意図的に心理的未完了を引き起こすための「ステップとコード」

顧客に対し、意図的に心理的未完了を起こすために必要な考え方をご紹介します。

それは、「ステップ」と「コード」という考え方です。

もともとコードというのはシステム開発の考え方で、ステップはそのまま、大まかな段階や手順のことです。

例えば私がセールスの研修をしていたとします。研修内では、「御社がこれからセールスで成功するためのステップとして、こういったステップ1を学び実践、次にステップ2、ステップ3……」と紹介することでしょう。

そして「コード」とは、各ステップ中で具体的には何をしていくか、どのような取り組みをしていくのかという内容です。あまり馴染みない言い方、考え方かもしれません。

そして結論から述べると、「提案をする時はお客様にステップまでを示すべき」ということです。

「大まかなステップ」まで示して、具体的な行動、取り組みレベルの「コード」までは伝えないということです。

ここですべてを伝えてしまうため、お客様が内容に満足してしまい「あ、もうわかった」と言ってしまう事態を引き起こすのです。

私、小沼勢矢が提供するオンラインセールス研修もそうです。

オンラインセールスで営業成績を上げたい、成約率を上げたいというクライアントさんがいらっしゃったとします。

その方に研修をおこない「どういう進め方がありますか」と聞かれた際、私は「例えばステップとしてはまず『ステップ1』へ。そもそもセールスに対する心理的抵抗をなくす必要があります。では、その心理的抵抗がなくなったので次にステップ2で再現性の高いセールスの方法を習得しましょう。ステップ3としてはその習得した技術を今度は実践レベルで使えるようにすべきです。……」とお伝えします。

そして最後に「以上三つのステップが、○○さんに私共が提供するオンラインセールスの研修の内容となります。具体的な内容について興味がありましたらお話ししますが、興味はございますか?」とお聞きします。

するとお客様は「心理的抵抗なんて本当になくせるのか?」と思ったり、「再現性の高いセールスのやり方とは、どのようなものですか」と質問したくなるでしょう。

この時、お客様は心理的に未完了な状態であり、ツァイガルニク効果が起きています。

心理的抵抗をなくしたいがためにしてはいけないこと

間違ってもセールスパーソンがやってはいけないことがあります。

それは、例えば「具体的に次の項目から内容のご説明をいたします」というように、商材のクロージングをする前に全て話をしてしまうということです。

お客様はその時点で満足してしまいます

したがって、商品のクロージングをするまでは先に述べた「大まかなステップ」に留めておくべきです。

商品の具体的な説明のような「コード」についてはクロージングの段階で触れるようにしましょう

「次が知りたい」「具体的に知りたい」「それはなんなんだ」というお客様の欲求をしっかり喚起するということを意識してください。

実際にお客様から質問されてしまったらどうするべきか

例えば私の例でもありました、「セールスに対する心理的抵抗をなくす」について「それって、具体的にどういうことですか?」ということをもしお客様から聞かれたとしたらどうするべきでしょうか。

この場合、あなたがセールスパーソンならば「『具体的な内容』をお知りになりたいということでよろしかったでしょうか」とお返ししましょう。

もしお客様が「そうです、具体的に知りたいです」と話されたら「では、商品に興味があるということでよろしいですか」あるいは「具体的な内容について『より』お知りになりたいということでよろしいでしょうか」と確認します。

そして最終的に「では、商品の説明をさせて頂きます」というように「クロージング」につなげていくべきです。

したがいまして、もし「具体的に教えて欲しい」というような質問があった際には、ご紹介したようなクッション言葉「ありがとうございます」を挟んだ上で、さらなる質問によって相手に切り替えし、「より具体的に知りたい」「商品に興味がある」と自身が感じているのだということを相手に認識してもらうことが重要です。

この誘導ができるようになれば、具体的な内容についても商品説明やクロージングの中で説明できるようになります

クロージングの前までに、具体的な内容についてあまりにも触れすぎてしまうとお客様は「完了(=満足)」してしまいます。注意しましょう。

相手を過剰に満足させず、心理的未完了の状態をうまく作り出そう!

心理的未完了を起こし、ツァイガルニク効果を実感してもらうためには「大まかなステップ」の提示をしましょうとお伝えしました。

大まかなステップは、できれば3つ以内にしましょう。人間は、3つ以上のことはなかなか覚えにくいためです。

具体的な内容について知りたいと相手が言ってくれれば、相手が本当に興味を持ってくれているかどうかをしっかりと確認し、興味があると答えられたら、具体的内容について「コード」の考え方でお伝えします。

具体的な内容を実践するのが、まさにあなたが持つ商品・サービスです。クロージングをした後、クロージング本番の中で顧客に確実に伝えてください。

具体的なテストクロージングの方法については、「成約率が劇的に変わる!テストクロージングの具体的な実践方法」の記事に記載しているのでぜひ読んでみて下さい。

今回は、満足させすぎてしまうということを回避するための対応・方法についてお伝えしました。是非あなたも実践してみてください。

投稿者:
代表理事
小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会代表理事。株式会社プロアライブ代表取締役。脳科学を活用したコンサルティングを8年で3,500人以上のクライアントに提供してきた。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことがきっかけで、脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。 【出版実績】 自分の脳に合った勉強法(フォレスト出版) シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方(翻訳) シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方(翻訳)

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