リアルで売れた営業ノウハウがオンラインで通用しない理由を脳科学的に解説

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投稿者:
代表理事
小沼 勢矢

今回は「これまで売り上げを出せていた営業手法が、オンラインで通用しなくなった理由」について脳科学的な観点から解説いたします。私、小沼勢矢のもとに届く相談の中で、非常に多い内容の一つとして「リアルでは売れたのに、なぜオンラインでは売れないのか」といったものがあります。新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン化がどんどん進んでいく最中ではあるものの、オンラインセールスで売上を得ることが難しい、リアルでは売れたのに、オンラインではリアルと同じ以上の結果を出すのが難しいというお声をいただきます。今回は、このような状態がなぜ起きてしまうのかについて解説いたします。

この記事はPodcastでオーディオセミナー配信しています。
目次

リアルで通用した営業手法がオンラインだと通用しないのは五感覚の優位性が変わるため

リアルで通用した営業手法がオンラインだと通用しない理由について、結論は「五感覚の優位性が変わるから」です。

脳科学的な観点からみると、オンラインセールスでは五感覚の優位性が変わります。

「五感覚」とは、視覚・聴覚・身体感覚・味覚・嗅覚のことです。

特にセールス活動において、大きく深く関わるのは「視覚」「聴覚」「身体感覚」の三つです。

例外として、試食販売となるともちろん味覚が関わってきます。またその場合は味覚に向けた味そのものも大切であると言えます。

例えば、熱意を伝えるとなった時に必要なものは身体感覚である「感じること」です。

営業マンが必死に熱意でプレゼンをして、思いを伝え相手の心を動かすということができるのは、相手の身体感覚の情報に訴えかけているからです。

視覚情報も大事です。

例えば、表情はとても大切です。相手のしっかりとした表情を見ることによって、信頼が生まれます。「この人は安心できるな」といったことがわかるのです。

聴覚も必要です。

聞きやすい話し方、声が通る伝わりやすい話し方、ということができると、やはりセールスパーソンとしては好印象です。

このように人間の脳には、相手の情報を感覚で受け止め、その受け止めた情報に対して理解しようとするメカニズムがあります

その感覚で受け取る情報が不快であったり、よく理解できなかったり、何か嫌なネガティブな気持ちを想起させるものであったりすると、セールスパーソンとしてはお客様に良い印象を与えることができず、結果的に成約ができないということになってしまいます。

今回お伝えしたいのは、リアルとオンラインでは優位に働いている感覚器官が異なるため、リアルで通用した営業手法営業の方法が通用しないということです。

では、具体的にどのようにリアルとオンラインで優位に働く感覚器官が異なるのか「メラビアンの法則」「感情の伝播」「プレゼン資料」という三つのポイントに分けてより詳しく解説いたします。

リアル営業の手法がオンラインで通用しなくなった理由1:「メラビアンの法則」の変化

メラビアンの法則というものを聞いたことがあるでしょうか。

よくコミュニケーションの原理として使われる法則です。

メラビアンの法則というのは「人間は、話されている内容からはほとんど影響を受けない。むしろ内容ではなく発話者の身振り手振りなど視覚・聴覚的な情報から影響を受け、人の印象を左右する」というものです。

法則における聴覚情報とは、話す内容よりも声のトーン等です。「聞きやすい話し方」とか「話している内容以外の部分」に着目されます。

オンラインでは「話している内容」こそが相手へ影響を与える

視覚情報については、見た目や表情、仕草、姿勢さらに着ている服による影響も大きいです。特にセールスパーソンには、清潔感が求められます

人間の印象に影響を与える内容の内訳として、視覚から得られる情報が55%、聴覚は38%、話の内容等は7%程度であるとされています。

しかしながら、オンラインではこの割合、比重が変わってきます

具体的には、内訳の中で比重が一番少なかった「話している内容」の割合が高まってくるのです。

オンラインでの会議やオンラインでの商談を思い出してください。

通常であればパソコンの画面やタブレットの画面、スマートフォンの画面、あるいは企業ですと会議室などにテレビ会議専用システムを設置し、スクリーンを利用して開催するといったこともあるでしょう。

ただ、どうしても人の全身は見えません。

実際に会っている時は、相手の頭の上からつま先まで見て取ることができます。

オンラインでは、基本的にはバストアップの画角で相手が話していることが多いはずです。

ここで変わったものは「視覚情報」です。視覚情報の物理的な量が減衰しています

視覚情報が減ったかわりにどの感覚の比重が高まってくるのか、それは「聴覚」です。

声のトーンあるいは聞きやすい話し方もさることながら、上記内訳の7%しかなかった「話している内容」の比重が高まります。

特にオンラインの場合は、繰り返し聞くことができたり学んだりできます。すると、話している内容が理解できない部分があった場合などに、脳の中でその部分がノイズとなってしまいます。

つまり「五感覚の優位性が変わる」のであれば、しっかりと体系立てられたセールスロジックを持っているかどうかが成約率に大きく影響を与えるということになるのです。

逆に、経験やセンスでセールスを行ってきた方にとっては難しいものであるといえます。

一部の人は、それでも継続的な業績を出し続けられると思います。

しかしながら、おそらくリアルの時よりも再現性は下がってしまうことでしょう。情報を受け取る五感覚の優位性が変わるからです。具体的には聴覚情報の重要性がより高まるのです。

リアル営業の手法がオンラインで通用しなくなった理由2:オンラインでは「思い」や「熱意」など感情が伝わりづらい

二つ目のポイントとして押さえなければならないことは「オンラインセールスにおいては思いや熱意など感情の伝播が起きにくい」という事です。

オンライン時は「思い」や「熱意」といった感情伝播が起きにくい、ということです。感情伝播研究のメカニズムからも証明できます。

心理学では、人間は近くにいる相手の感情が移ってしまうという感情伝播研究というものがあります。

過去に行われた実験では、ある商品に対して好意的な感情を持つグループに後から配置された人は商品について好意的になり、ネガティブな感情を持つグループに配置された人はネガティブな感情を持つという結果になりました。

また成功者の近くにいることで自身の成功に近づけたり、モチベーションを高く保てるということも。

この感情伝播研究は、オンラインで起きにくいのです。

先日、プロセールス協会のセミナーにご参加された方に「オンラインで感じている課題は何ですか」と確認したところ「独特の緊張感が伝わらない、空気感が伝わらない」とおっしゃっていました。

やはり、リアルに会うと緊張感が伝わります。

しかしオンライン時には場所も違うこともあり、置かれている環境が異なるため緊張感が伝わりません。

もしかしたら先方の会社様は、がやがやした人混みの中で話してるかもしれない、そうすると全く緊張感や空気感が違います。感情伝播が起きにくい状況なのです。

つまり思いや熱意だけでプレゼンをしていた方は、そちらに偏って営業活動をしていたため、オンラインセールスでは非常に厳しい状況となるのです。

そうなった場合、ひとつめのポイントとも関わる「再現性のあるセールスロジック」というものを自分の中でいかに形成するかということが大切になります。

「再現性のあるセールスロジック」がなければ、結局その時の自分自身のモチベーションや成果にブレが生じてしまい、再現されるべき結果をなかなか手にすることができないことに陥ります。

リアル営業の手法がオンラインで通用しなくなった理由3.「プレゼン資料の重要性」が上昇

三つ目は「資料」です。

プレゼンの最中に使う資料について、重要性が増しているということを認識しましょう。

オンライン営業は基本的にPC画面あるいはタブレット、スマートフォン、およびテレビ会議用のスクリーンなどを利用して行われます。

今までは実際に会って紙の資料を提示する、その際に営業マンの説明、身振り手振りが加わり、その場でクロージングに進むということもありました。

現在は同じことの再現がなかなか難しくなりました。

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オンライン営業の場合、お客様に提示する資料について、レベルの高いしっかりと伝わるような内容でなければ視覚情報に訴えかけられず、効果的な情報を与えるための視覚的な優位性が減ってしまうことになります。

もちろんセールスパーソン自身の身だしなみや表情もすごく大事です。

そちらに加え、もう一つ意識していただきたいのがプレゼン資料の重要性です。

先日、プロセールス協会にご相談に来られた会社様から以下のようなお話を伺いました。

「リアルで使っていた営業の資料を、オンラインでも使うようにしている」とのことで、この時点で非常に危ういものを感じます。

理由として、リアルで使っていた資料は「その場で説明ができるセールスパーソン自体が付随している」ため、その場で分からないことは補足等が可能ですが、オンラインの場合は、そもそも字が小さいことにお客様が違和感を持つためです。

抱いた違和感がノイズとなり、無意識に溝が広がる。結果的に拒否反応が起きてしまうのです。

Power Point32pt以上の文字サイズで資料を作る、無理ならプロに依頼する

例えば、具体的には「Power Point上で32ポイント以上の文字の大きさが理想である」ということを私は推奨しています。

32ポイント以上の大きさであれば、お客様が目を細める必要がなく、違和感なく文字を確認できるのです。

これが12ポイント、10ポイントというサイズになるとほとんど見えません。オンラインでは非常に見にくいです。

お客様にノイズを起こさない効果的なプレゼン資料、見やすい文字などの重要性がオンラインの場では特に増していることを認識してください。

むしろ、本項については後の収益のためにお金をかけてもいい部分であるともいえます。

デザイナーさんに依頼して、しっかりとした材料でプレゼン資料を作る。それだけのリターンが得られる可能性は高いですし、当協会もそのようにしております。

デザインセンスを持たないスタッフで試行錯誤するよりも、プロにしっかりと依頼して、質の良いものを作っていくということが大事です。

プレゼン資料の重要性を意識して、改善していただきたいと思います。

もちろん、資料を全く使わずに天才的にプレゼンできる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、私は「再現性」を非常に意識しているため、トップセールスではなくても、再現性が高く安定したセールスの成績を出せるということが重要です。

そのために「社内で共通した成約率の高い営業資料を使う」等を意識していかなければなりません。

会社の中で一つ、効果性の高いプレゼン資料を作る

実際は、企業の中で営業マン各自がバラバラで資料を使っているということが非常に多いです。

先日も、ある大手の損保会社に勤めている方とお話する機会がありました。やはり、営業マンが使っている資料は全員バラバラであるということでした。

そういった状態だと、再現性が担保できなくなります。

少し角度の異なる視点になりますが、その場合に大切なことは「社内での透明性」です。

例えば、資料を営業マンが独り占めにするのではなく、社内ナレッジを共有してもっといいものを作っていこう、もっと会社全体でお客様に対して価値のあるプレゼン資料を作っていこう、という姿勢が大事です。

透明性が必要であるにも関わらず、営業マン一人一人が「自分のものだから」「自分が使いやすいから」という理由で、統一されてない営業資料を使ってしまうと、それだけで社内での再現性が下がってしまうという危惧が生まれます。

当協会ではセールスの支援をさせていただく時に必ず「会社の中で一つ、効果性の高いプレゼン資料を作る」ということを意識しております。

プレゼン資料の重要性が増していることを認識し、その作り込みに時間をかけるようにしてください。

リアルとオンラインの脳科学的な違いを認識し、オンラインで通用する営業手法を作り出そう!

今回は、「なぜリアルで通用していた営業手法がオンラインでは通用しなくなったのか」について解説しました。

結論としては「五感覚の優位性が変わったから」さらに3つのポイントをお伝えしました。

ぜひ、この3つのポイントを意識してオンラインで通用する営業手法を自分なりに考え、実践してみてください!

投稿者:
代表理事
小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会代表理事。株式会社プロアライブ代表取締役。脳科学を活用したコンサルティングを8年で3,500人以上のクライアントに提供してきた。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことがきっかけで、脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。 【出版実績】 自分の脳に合った勉強法(フォレスト出版) シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方(翻訳) シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方(翻訳)

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