商談における「お断り理由」は3つ
私は、「お断り理由」は三つしかないと考えます。
一つが「コスト」。
支払コスト、時間的なコスト、エネルギー的なコストが該当します。
支払いコストによる断りを受けないための方法については、「個別相談で価格による断りを受けないための2つのアプローチ方法」の記事を、高価格での成約に繋がる相場感について、「高単価で成約するためには相場観が重要!購買意欲を高める2つの方法とは」の記事も参考にしてみてください。
そして二つ目が「不安」です。
不安は「費用対効果」です。本当に成果が出るのか、本当に望ましい結果が出るのかということに対する不安です。
そして三つ目が「リスク」です。
「商材を導入することによって上司から何か言われるんじゃないか」「社員から何か言われるんじゃないか」、場合によっては「家庭で妻や子どもから何か言われるんじゃないか」というものです。
この三つは私が提供するセミナー、講座等でよくお話しております。
また、そもそも人がなぜ商品・サービスを購入するのかについては、「人はなぜ購入するのか?営業マンが知っておきたい「ドーパミン報酬予測誤差」の記事を参考にしてみてください。
今回はその先に踏み込み、「さらにお断りをされた際の切り返しトークとは、どのようにすべきか」についてお届けします。
お断りには「方程式」で対応するべき
お断りをされた際には「方程式」が必要です。
「クッション言葉+ポジティブ質問」という式になるのですが、内容について解説致します。
クッション言葉
「クッション言葉」というのは、私が編み出した考え方ではなく株式会社新規開拓の朝倉千恵子さんから学んだことです。YouTubeで「クッション言葉」と検索していただくと、ご本人による解説も閲覧可能です。
例えば商談で「小沼さん、その商品は高いよ(コスト)」や「本当に成果出るんですか(不安)」というお断り文句が相手から発せられたとします。
こういった場合、まるでクッションのように相手の言葉をまず受け止めてください。
つまり、コストに対してであれば「率直におっしゃっていただきありがとうございます」「正直にご意見をお伝え頂きありがとうございます」と、一旦相手の言葉を受け入れます。
ここで、防御反応として「具体的にどの点が高いと思われましたか」と言ってはいけません。
これを言ってしまうと、相手は「自分の意見が受け止められている」という感覚が得られないのです。
脳科学的な専門用語になりますが、心理的安全基地というものを担保することによって、相手が本音を話してくれるようになります。
つまり、こちらに相手の意見を受け止める度量がなければ相手は本音を話してくれません。
したがって、まずは相手の意見をクッション言葉によって受け止めましょう。
ポジティブ質問
クッション言葉で相手を受け止めた後にすべきことは、プラスを生む「ポジティブ質問」です。
ポジティブな質問とは、「相手がポジティブな内容で返してくれる質問」のことであり、こちらを瞬時で編み出さなければなりません。
例えば先ほどのように商材が高いと言われた際、「率直におっしゃっていただきありがとうございます。ちなみにどのような点が高いと感じられましたか?」と聞くと、「高いと感じる理由」が返って来ます。
その「高いと感じる理由」は、セールスパーソンにとってネガティブな情報です。
相手が「高い」という情報を発信すると、言われた側の人間の脳は自分のことも洗脳してしまいます。
つまり相手が「高い理由」を言えば言うほど、自分の商品が高い、価格に見合わないというように自分のことを洗脳してしまうのです。
そのため、相手がネガティブな反応をするような質問をしてはならないということになります。ポジティブな反応が返ってくる質問を設計しましょう。
例えば商材が高いと言われたら「率直におっしゃっていただきありがとうございます。逆に価格以外の部分についてはどうでしょうか」と聞くと、価格以外の部分については納得しているお客様であれば「価格以外の所はいいよね」や「サポートについてはとても良いと思います」等ポジティブな答えが返ってくることでしょう。
あるいは「率直におっしゃっていただきありがとうございます。この価格の理由についてお伝えしてもよろしいでしょうか」と伺って、相手がYESと言えば、なぜ高いのかということについて説明する機会が得られます。