商談につながらない
私どもプロセールス協会は、職業柄たくさんの営業マンや、営業の悩みを抱えている経営者の方とお会いしてきました。その中で非常に多い相談が「新しい顧客と出会うことはできているが、商談に繋がらない」といったお悩みです。
例えばあなたがもし営業マンであれば、異業種交流会に行かれるでしょう。そして名刺交換をした相手がいたならば、社交辞令でまたお会いしましょうとお話するはず。ところが具体的な商談に繋がらない、あるいは「お会いしましょう」と連絡すると、連絡が返ってこないというような経験はありませんか?
あなたが経営者の場合、経営者交流会に赴いて名刺交換をしてお会いしてみても、商談となるとお互い経営者同士であるせいか「売り込み」と感じられてしまい、なかなか会社のビジネスに繋がらないといったことがありませんか?
私どもはそういった相談をよくいただきます。今回のコラムでは、上記のような場合では具体的にどうすればいいのかについてお伝えします。
人が購買行動を起こす時の「感情の動き」とは
そもそも、人が物を買うメカニズムの中には「感情の動き」があります。感情の動きは具体的に四つ挙げられます。
感情の動き1. 不安
一つ目は「不安」です。
誰しも、物やサービスを買うときには不安という感情からスタートします。緊張とか疑いという言葉に置き換えてもいいかもしれません。例えば、業種交流会で名刺交換をしたとして、最初から喜んで「どうぞ営業してください」という人はなかなかいません。
あなた自身が営業マンであれば、相手は、最初どちらかと言うと「どんな人間なのか」といぶかしむかもしれません。
感情の動き2. 安心
不安からスタートするため、セールスパーソンが次に感情すべきは「安心」です。
安心感を与えることにより、ラポール(心理的安全基地=セキュアベース)の形成が起こります。安心感は、相手に対する警戒心を解きます。あなたの話を聞こうという体勢ができるのです。ですから、経営者やセールスパーソンの方々は安心感を与えるための情報を提供しなければなりません。具体的には非言語情報である「ノンバーバル情報」です。
話し方・声のトーン等を適切な調子にすることで、安心感を作り出すことができます。
感情の動き3. 興味
次は「興味」という段階です。ここからが特に重要な感情となります。
顧客は、あなたに興味関心を持つからこそ、あなたの話を商談として聞こうと思います。たとえ安心感を与えても、興味がなければ相手はあなたの話を聞こうとは思いません。もしかすると、第一印象とか清潔感・身だしなみ・笑顔といったことはクリアできている読者の方も多いかもしれません。
しかし安心感を与えたら将来に繋がるかといえば、そうではありません。いかにあなたに興味を持たせるか、が大事です。
感情の動き4. 感動
そして興味を持っていただいたら、最後の感情は「感動」です。
感動的な体験があるからこそ、顧客はあなたの商品やサービスを購入するということです。ですから、不安・安心・興味・感動の四つがそもそも購買行動における感情のメカニズムとして存在するという基本をおさえてください。いかに商談につなげるかについてのポイントは、安心感を抱いた後に興味を持っていただく部分にあります。
「新しい出会いがあっても、なかなか見込み客のアポイントに繋がらない」という方も、ここをクリアすれば、あなた自身の出会いを商談につなげることができるでしょう。
「起商力」を身につければ商談化できる
それでは、「安心」から「興味」を抱いてもらうためには何が必要なのでしょうか?
結論から述べますと、私は「起商」が必要であると思っています。起商力こそが、アポの取れる営業マンや経営者とアポの取れない営業マンや経営者との違いであるということです。
起商ができれば、新規開拓は面白いほど可能になります。起商力がなければ、どれだけ人と出会い、たくさんの名刺交換をしても、全く具体的な商談に繋がらなくなってしまいます。
私、小沼がたくさんのセールスパーソンや経営者を見てきた経験では、営業で成果を出す人は間違いなくこの起商力が高いです。
起商力により商談化できるようになった顧客事例
具体的な事例を挙げます。
外資系の金融機関に勤めているSさんという方がいます。Sさんはかつて業種交流会で皆様と名刺交換をしても、なかなか商談には繋げられませんでした。
しかしながら、私のオンラインとリアルを活用したハイブリッド戦略の講座を受けることによって、以降の異業種交流会からアポイントが得られるようになりました。結果的に昨対で140%以上の売り上げを創出したそうです。
なぜそれができたんですか?とお伺いしました。今までは異業種交流会で名刺交換をして、先方の話を聞き、自分の仕事内容を伝え、ぜひ近くお話ししましょうと連絡しても、その後の反応が全く得られなかったそうです。
しかし今回のコラムでもお伝えする内容を実践することによって、アポイントにつながり、商談が具体化していったとのことです。商談化が頻繁に起こりさえすれば、その中から一定の確率で契約は起こるものです。自ずとSさんは契約数が増えるようになり、結果的に140%の売り上げを達成したということでした。
他例では経営者の方のお話を伺いました。あるリゾート管理会社を経営する社長様がいらっしゃいます。
こちらの方は、これまで会社の中に営業の仕組みを取り入れたことがなかったそうです。ホームページから問い合わせが来て、担当の方がヒアリングをしたり現地に赴いて別荘や保養所の現場調査をしたり……といった業務を経て、管理を月額いくらで代行、といった提案をしていました。
そちらの企業が、具体的に商談を立ち上げていく起商力を学ぶことによって、まず会社全体の構造を変えました。それまで営業を全く学んで来なかったメンバーが起商力を学ぶことによって、会社全体の雰囲気が変わりました。具体的には新規の案件の受注率大幅アップなどです。
起商力を高めるメリット
起商力を高めるメリットは「価格の勝負をしなくていい」ということです。
普段は、安かろう悪かろうで相見積もりを取られていた上記会社様が、起床力によりお客様の興味を引きつけられるようになりました。
興味を持って話を聞いていただけるので、適正価格で販売できるようになります。前段落の企業様も新規案件の受注率が上がり、かつ相見積もりにならず適正価格で販売できるようになりました。
このように起床力を適切に使うことができれば、大幅な業績アップが実現できます。
起商力を高めるための3つの要素
私どもはクライアントの皆様に起商力を得ていただくために、脳科学や心理学を活用して「再現性の高いメソッド」を提供しています。
私、小沼自身は元々とある業界におりましたが、トップセールスではありませんでした。むしろ営業が苦手で、コミュニケーションも上手くいかず非常に悩んでいました。その時に、脳科学や心理学との出会いがあったことにより、これら学問を利用した人との円滑なコミュニケーション方法はないだろうかと研究するようになりました。
今なお続く研究により、不安・安心・興味・感動という「人が購買に至るメカニズム」の解明もできました。そして、不安を安心に変えるにはどうすればいいのか、安心から興味を持っていただくために必要な起商力とはなにか、そして起商した後の興味を感動に変えるにはどうすればいいか、について分解して考えました。
このことで再現性の高い営業メソッドが提供できるようになりました。今回は、当該メソッドの中でも再現性の高い営業力=起商力を支える三つの要素をご紹介します。
要素1. キャッチコピートークを磨こう
一つ目がキャッチコピートークです。キャッチコピーのように、相手の興味を一瞬で惹きつけるためのトークのことです。
読者の皆さんの中には、ウェブが上手く使えないとか、なかなか広告費を打つ予算が捻出できないといった方もいらっしゃるかもしれません。そういった方々にとって、新規の出会いをいかに商談につなげるか、顧客に興味を持っていただくのかを左右するのがキャッチコピートークです。
キャッチコピートークは相手の興味を惹きつけるものであるため、キャッチコピートークを構築する上であなたが問われるべきことは「あなた自身の魅力を端的に伝えられる」「お客様に興味を持っていただける」キャッチコピーは存在しますか?ということです。
もしキャッチコピートークがなければ、あなた自身がどんなに出会いをたくさん重ねても、ただ単に名刺ホルダーがいっぱいになるだけです。結果的に商談には繋がりません。
要素2. 起商アプローチ=商談を起こす力
キャッチコピートークで相手に興味を持っていただいたら、この段階で商談に繋げるべきです。
私どもプロセールス協会は、どのようなキャッチコピートークであれば効果の高いアポが取れるのかについて検証しています。実際に、弊社には入社して2ヶ月の新人の営業コンサルタントがいます。その新人が一か月以内でどれだけ営業のアポイントが取れるようになるかについて検証した結果があります。
彼は前職が飲食店で、営業経験ゼロです。そんな人物が、私どもが今回体系立てて申し上げた起商力を身につけるとどうなるでしょうか。
彼には、キャッチコピートークをはじめとした「起商アプローチ」を身につけてもらいました。結果的には、2022年3月1日~31日までの間に、68アポイントを獲得しました。広告費はゼロですので、いい結果だと判断しております。
広告費をかけずに、かつ業界未経験で入社2ヶ月の新人が、一か月で68のアポイントを取れるようになりました。この結果を起こせた理由は起商力です。
要素3. 商談プロセスの設計
3つ目は商談プロセスの設計です。商談を立ち上げた後に、確実にご成約いただくためのプロセスが必要です。
私どもは7つのステップで本プロセスを構築していくと日頃お伝えしています。成約率の高い商談プロセスを設計することによって、創出したアポイントを着実に成果につなげていくことが大事です。
当協会では、本メソッドにより成約率80%以上を維持しております。
起商力を身につけ、商談化率を高めよう!
起床力が商談化のための大きなテーマであったことがご理解いただけたと思います。起商力を持つために3つのポイントがあります。
まずキャッチコピートークを持ち、あなた自身の仕事に興味関心を持っていただきましょう。簡単なものかつ、常にアップデートを重ねなければなりません。
2つ目は起商アプローチです。興味を持っていただいたら、そのまま商談に繋げていくためのアプローチを、顧客一人一人個別に設定していきましょう。例えばキャッチコピートークも、保険の業界であれば保険のトークになります。一人一人立場も業界も違えば、すべき話も異なるものであるため、個別に丁寧なアプローチを持つべきです。
私どもの例で言えば、広告費ゼロで入社二ヶ月の新人営業が一か月間で68のアポイントを獲得しました。これは起商アプローチをしていたからであると、社内でも実証できました。
3つ目が商談プロセスの設計です。プロセールス協会では、成約率を高める7ステップからなる商談プロセスを活用しています。是非皆さんも、自分自身の営業における再現性を得ることで、高い成約率を手に入れていただきたく思っております。