今回は「オンライン上でラポールを築く三つの要素」というテーマでセールスノウハウを解説します。 顧客とのコミュニケーションに悩みがある方にはぜひご一読いただき、コラムの内容をあなた自身のセールス活動に落とし込み役立てていただければと思います。
オンライン上でのラポール形成のプロセスは対面時と異なる
私、小沼が運営しておりますプロセールス協会では、以下のようなご相談を受けることがよくあります。
「オンライン上でお客様と効果的にコミュニケーションを取るには、どうしたらよいでしょうか?」
「オンラインでは相手の反応がわかりづらい」
「相手が本当にこちらの話に納得してくれているのかどうか分からず、効果的にコミュニケーションが取れてるか掴めない」
もしかしたら、同じことを思って訪問してくださっている読者様もおられるかもしれません。
実は、オンライン上で「ラポール」を築くやり方はリアルでの営業と異なります。
「ラポール」とは、お客様との信頼関係を構築することです。
ラポールが築けていれば、お客様は本音を語りやすくなり、あなた自身が話したことに対しても納得感を得やすくなります。
ラポールが築けていない状態でお客様と話をしても、「コミュニケーションが本当にとれているのかわからない」「本当にお客様にこちらの提案が伝わってるのかわからない」といったことが起こります。
なぜならば、お客様との信頼関係が築けていないのにいくら商品説明しても効果的な提案とはならず、相手に伝わらないためです。
したがって、オンライン上でも対面でもまず最初に心がけるべきことは「お客様とのラポール形成」です。
オンライン上でのラポール形成方法とは
では、リアルとオンラインにおけるラポールの築き方はどう違うのでしょうか?
一番大きい違いは、リアルで伝わる情報とオンラインで伝わる情報が異なる部分にあります。
リアルの時に一番伝わるのは「相手の気持ち」や「相手の感情・熱量」といった身体感覚情報です。
オンラインでは、ZoomやMicrosoft Teamsといったオンラインツールを活用しながら商談に臨む事が多いと思いますが、気持ちや思いは伝わりやすいでしょうか?
やはり、リアルと比べるとどうしても熱量が伝わりにくいはず。これがオンラインとリアルの大きな情報量の差です。
この事実を踏まえた上で、オンライン上でのラポール形成には三つの要素が必要であるといえます。
オンラインでのラポール形成のために①表情
オンライン上でのラポール形成のため必要な一つ目は「表情」です。
特にオンライン上では、表情が大きくラポール形成に影響を与えます。
皆さんは、ムッとしている表情の営業マンと爽やかな笑顔を見せる営業マンのどちらが好印象でしょうか?もちろん後者ですね。
特にオンラインの場合、相手とは画面を通して相対するため、必然的に画面は表情の占める面積の割合が大きくなります。
いわゆる営業マンの熱量に直結するような身体感覚情報はリアルでは伝わりやすいですが、オンラインではほぼ伝わりません。オンラインでは人間の五感のうち、視覚情報と聴覚情報の比重が高まります。
そのため視覚情報である表情がラポール形成のために重要となるのです。
オンラインでのラポール形成のために②姿勢・身だしなみ
二つ目は、「姿勢と身だしなみ」です。
通常、オンラインで私たちが見て取れる画面に映っているのは、バストアップが主です。
相手であるお客様にとっても同じことであるため、バストアップから上の姿勢に関わる「姿勢・身だしなみ」が特にお客様のラポールを築くかどうかに影響を与えます。
逆に、姿勢や身だしなみがみすぼらしかった場合どうなるでしょう?
私もたまに他社営業の方とオンライン通話する機会があります。その際、やはり自宅で撮影されていて、自宅の背景が写ったり、着替え途中のワイシャツ、洗濯物が見えたりします。
実はそういった部分が見えてしまうと、ラポール形成に至らないのです。
表情とともに姿勢・身だしなみを意識的に良くしていると、相手に「しっかりした営業マンなんだな」という情報を視覚的にキャッチしてもらえます。
新人のセールスパーソンは特に視覚情報を意識しよう!
特に新人の営業マンの方には、ぜひ視覚情報を大事にしていただきたいと思っています。
先日、ある企業のトップセールスの方と話をする機会がありました。その方が新人の営業マンの中で「売れる人の特徴」として「身だしなみがしっかりしていること」と言っていました。
その理由は簡単です。やはり、知識や見た目となると相手からは少なからず「新人なんだなぁ」とわかりやすくなってしまうものです。しかしながら、その際に少しでも姿勢・身だしなみを美しく見せていれば、お客様にプロっぽいと思っていただけるのです。
私もそのお話には強く共感しました。まだ経験値が浅いときは、喋り方やプレゼンテーションスキルはまだまだ未熟なものですよね。
しっかりと自分の中で身だしなみを整えている方に対しては、相手の経験の深さに関わらず、こちらもそれ相応の対応をしようと思うものです。この点は、営業を受けるとよく分かります。
また、今回の「姿勢と身だしなみ」のようなオンライン上での留意点について、Kindle本にて30項目に分けてまとめていますので、『契約の取れるオンラインセミナーの作り方30Tips Kindle版』も是非ご参考にしてみてください。
オンラインでのラポール形成のために③声のトーン
最後の三つ目は、これまでの視覚情報に訴えかけるものではなく聴覚情報に関わるものです。
オンラインで会話する際には、声のトーンを意識しましょう。
声のトーンは、リアルで会っている時には、実はそこまで気にならないものです。理由は、対面状態では他に身体感覚情報があるため。相手のオーラや、雰囲気など非言語情報も含めてコミュニケーションは進められるものですね。
しかしオンライン状態ではなかなかそれができません。
オンライン状態で相手から聞こえる情報には「声」があります。そこで、特に声のトーンを感覚的に2倍ぐらい高めるようにしましょう。
もし実際にあなたが商談やセミナーを開催した場合に、収録をして振り返ってもらえたらと思いますが、オンライン上で自分が話しているところを見てみると、当時は声を張り上げている、声のトーンを少し高めにしているつもりでも、録音されたものは意外なほどに低くなっていることがわかります。
私、小沼も実際そうでして、かなりの衝撃でした。自分が以前、コロナ下以前に収録したオーディオセミナーを聞き返すと、いかに自分が声のトーンが低いのかがわかりました。一言で言うと「暗い奴だな」という印象さえ持つことになったのです。
以降、意識的に声のトーンを高くしました。
すると、お客様から好反応が返ってくることが増え、これは営業活動においても大切だと理解するようになりました。
お客様に与える印象が全く違いますので、今回のテーマでもある「ラポール形成」ができるか否かに大きな影響を与えます。
声のトーンの低さについては、女性でも男性でも同様です。いずれも意図的に声のトーンを高くしないと、お客様とのラポールが築けません。
ラポール形成のための3点を身につけて、セールス活動に活かそう!
ラポール形成のために心がけることが三つあるとご紹介しました。
ひとつ目、表情は基本的には笑顔にしましょう。
ふたつ目は姿勢・身だしなみです。同時に背景も含めて整えないと、お客様から営業マンとしての見られ方が変わってしまいます。
3つ目は声のトーン。「伝えるため」に、声のトーンは感覚で2倍は高くして話すことを意識しましょう。
この3点をあなたの「第一印象」としてお客様へ提示することで、お客様はラポールを築くためのきっかけを得ることができます。
ぜひ、今回ご紹介したこの3点を意識して、明日からのセールス活動に邁進していただければと思っております。また、オンラインとリアルのセールスの違いについては、「リアルで売れた営業ノウハウがオンラインで通用しない理由を脳科学的に解説』の記事を参考にしてみてください。