商談で顧客と信頼関係を構築してセールスするために必要な4つの役割

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投稿者:
代表理事
小沼 勢矢

本記事では、成約率を高める「4つの役割」についてお伝えします。「4つの役割」とは、契約成立のためにセールスマンが果たすべき役割のことです。この4つの役割を果たすことで、確実に成約率を高めることができ、お客様にも満足して頂くことができます。ぜひ今から実践してみてください。

この記事はPodcastでオーディオセミナー配信しています。
目次

第1の役割「カウンセラー」

4つの役割のうち、ひとつ目の役割は「カウンセラー」です。

カウンセラーというのは、「商談の冒頭」において果たすべき役割です。

一般的に、「カウンセラー」というと心理的な相談に乗ったり、お客様のメンタルケアをしたりといったイメージが多いかと思いますが、プロセールスがお伝えする「カウンセリング」は少し内容が異なります。

商談における「カウンセラー」の定義

カウンセラーとは「関係構築をすること」と定義できます。

お客様との関係構築をすること、具体的にはお客様との「ラポール」です。

つまり信頼関係を築き、お客様にとっての「心理的安全基地」を作ってあげること。

「いかにして、お客様が本音を話しやすい状況を作るか」ということが、カウンセラーとしての役割です。

そのためには、第一印象を良くするように努めることも必要です。

例えば、表情はしかめっ面よりは笑顔の方が良い印象を与えられるでしょう。

姿勢も、猫背で話を聞くよりはしっかりとした姿勢を保ってお客様の話を聞く方が良いです。

また、オンラインの場合においては「反応」が大切です。

頷きや相槌といった反応も、お客様に伝わりやすいよう少し大きめのリアクションをするなど、お客様が心理的に安心な安全な場を感じられる状況をいかに作るかということがカウンセラーとしての役割です。

もしカウンセラーの役割ができていないと……?

カウンセラーとしての役割ができていないと、お客様はこちらに対して心理的に安全な状態ではいられなくなる。つまり警戒心を抱いてしまい、本音ではお話しなさらなくなってしまいます。

実際の脳科学研究結果に基づくと、人間の脳は不安や恐れを感じると身を守るようになることがわかっています。つまり本能的に命を守ろうとするというメカニズムが働いて、防衛本能が機能します。この状態から、お客様の本音を引き出すことは難しいです。

お客様が防衛本能を持たれてしまうと、セールスパーソンが現在おこなっている提案が、お客様の本当の問題解決のために相応しくないものとなってしまう可能性も生じてしまいます。

この状態を防ぐため、まずセールスパーソン自身がカウンセラーとしてお客様としっかり関係構築する力を身につけることが、商談の冒頭においてとても大事なことです。第一印象を磨くことを意識しましょう。

第2の役割「コーチング」

ビジネスパーソンが商談で演じるべき2つ目の役割は「コーチ」です。

「コーチ」とはいわゆる「コーチング」です。先ほど、関係構築力のために必要な役割がカウンセラーであると述べましたが、コーチングという役割が果たすべきこととは「質問力」です。

コーチングの役割とは

「コーチ」は、お客様に適切な質問を投げかけることにより、お客様の「気づき」を促したり、お客様の脳内を言語化してあげたりすることによって、お客様の思考を整理することができる役割です。

人間の脳には「質問されると、考え始める」という本能があります。したがって、適切な質問をすることによってお客様の思考や理解が進み、お客様自身の頭が整理され、気づきが生まれます。

質問力を磨くこと、セールス時には質問力を徹底的に重視するという考え方をプロセールスではとても大切にしています。質問力を持ってお客様と向き合う役割がコーチです。

商談初期こそコーチングが必要

コーチングは、商談の初期におこなうことが比較的多くなります。商談の初期というのは、お客様のことを知らなければならないためです。

手法としては、お客様に的確な質問を投げかけ、お答えいただくというものになります。

例えば、「お客様の仕事内容」「どのような課題を抱えているか」「どのような課題に対して、どんな行動を取ろうとしている・取っているのか」「根本のボトルネックは何か」というように様々な質問があると思います。これらの質問を投げかけるのがコーチの役割です。

プロセールスのセールス講座においても、このコーチの役割を重要視しています。

コーチングの限界とは?

ただし、コーチの役割だけでセールスがうまくいくわけではありません。コーチングによって投げかける質問に対する答え=アウトプットが、お客様の脳のデータベースの中にしかないためです。

セールスパーソンが質問をした時に答えるのは、お客様です。お客様の頭の中にしか、答えは存在しません。

この部分を、コーチングの限界であると定義します。

ビジネスパーソンがどれほど適切な質問を投げかけても、お客様の頭の中に存在することしか返って来ることはないため、お客様が脳内に持つデータベースが更新されていなければ答えの質が低くなってしまいます。そのため、コーチングだけが全てではないとご理解ください。

第3の役割「ティーチャー」

3つ目の役割は「ティーチャー」。学校でいう「教師」「先生」と同じ意味です。

第2の役割「コーチング」で、コーチングに限界があると述べましたが、その限界を補完するのが「ティーチャー」です。

ティーチャーの役割とは

ティーチャーの役割は、知識を授けることです。クライアントに対して適切な知識を共有、適切なデータベースを提供することによって、お客様のデータベースを更新していきます。

例えば、クライアントが目標達成のために誤った行動を取っていた際に、ティーチャーとして次のようなことが言えます。

「その行動はまちがっています」

「実はこういった方法を取ればもっと効果的に目標が達成できます」

すると、相手からは専門家として見てもらえ、あなたに対する信頼度がアップすることでしょう。

ティーチャーに必要なものとは?

つまり、ティーチャーにとって必要なものは専門性です。

専門性を磨いていなければ、ティーチャーとしての能力を発揮することができません。

だからこそ、セールスパーソンにとっては自分へのインプットが必要になるのです。

自分を常にアップデートしていないと、いつのまにかセールスパーソンよりもお客様の方が物事に詳しくなる、お客様の方が情報を持っている、という状態を引き起こしてしまい、専門性を失ってしまいます。

そのため、自分自身をいかに研鑽しているかが問われるのがティーチャーという役割なのです。ティーチングによって、お客様に適切な知識を提示していきましょう。

第4の役割「コンサルタント」

最後、4つ目の役割は「コンサルタント」です。

コンサルタントとは、問題解決をする人のこと。ティーチャーと一見似ているように捉えられるかもしれません。

知識享受と問題解決はいったい何が違うのかということについても説明させていただきます。

ティーチャーとコンサルタントの違いとは?

ティーチャーとコンサルタントの違いとは、「フレームワーク」または「再現性のあるノウハウ」があるかないか、です。

例えば、オンラインセールスでの売上に苦しんでる人がいたとします。その方は、具体的にどのようなツールを使えばいいか分からない、オンラインとリアルでどのようにセールスの手法を変えていけば売上につながるのかが分からない状態です。

この場合に、例えばオンラインツールとしてZoomやCisco Webex、Microsoft Teamsを使いましょうといった専門知識をお伝えすることがティーチャーの役割になります。

しかし、それだけではオンラインセールスの売上は上がりません。

お客様は単にツールの導入について理解しただけで、オンラインセールス自体の売上をアップするにはもっと別のやり方、ノウハウが必要です。

今回の例においては、Web会議のツールだけを教えるだけではなく次のようなことを提示し、問題解決していくことがコンサルタントの役割です。

「具体的にどうすれば売上が上がるのか」

「どのようなフレームワークに基づき営業活動をおこなえば売上が上がるのか」

「どのような再現性の高いノウハウを実施すれば売上につながるのか」

など、問題解決をおこなうノウハウまで伝えるようにしましょう。

ティーチャー・コンサルタントの使い分け

前段落における前者と後者は、似て非なるものです。どちらが偉いというわけではなく、いずれも必要な行為。

ポイントとしては、問題解決のために「フレームワーク」「再現性のあるノウハウ」を提供できる役割がコンサルタント、断片的な知識を教授する役割がティーチャーです。

ティーチャー・コンサルタントという役割は、商談の比較的の中盤~後半において実施することが多いものです。

先ほどの「コーチング」においては、お客様との関係をしっかり築き、お客様にとっての必要な情報をお客様自身からヒアリングする役割がコーチであるとお伝えしました。

コーチングで引き出した情報を元にティーチングを行う、それをもとにコンサルティングを提供することによって、お客様にとっての課題解決・問題解決を達成することがまさにコンサルタントであるといえます。

4つの役割は「型」である

ティーチャーとコンサルタントという役割は商談の中盤から後半にかけて行うことが多くなるとお伝えしましたが、今回の例はあくまでも画一的なパターンの一つです。

実際の商談が例示したように上手くいくかと言うと、ほぼ上手くいきません。

したがって、今回お伝えしている内容はあくまでもパターンのひとつであり、実際に応用できるかどうかはケースバイケースです。

とはいえ、一つの「型」として四つの役割を知っておくことで、商談の冒頭では「関係性を築く」「第一印象を良くする」「はっきりした声のトーンを心がける」といったことが意識できるようになります。

そして商談の初期においては、「しっかりとお客様に質問する」「お客様の考えを引き出す」「お客様の脳内を言語化する」ことが意識できるようになれば、後ほどの「提案」等にも活用できます。

商談の中盤から後半においては、ティーチャー・コンサルタントとして専門性を維持、お客様に気づきや発見をもたらし、問題解決をしていく。

これらのことが意識できていれば、セールスにおいてとてもバランスの良い対応ができるのではないでしょうか。

適切に役割を「使い分ける」ために

今回ご紹介した内容を実践し、身につけたい場合にオススメの方法があります。

自分自身が今おこなっている商談の記録を取っていただく、というものです。

具体的には、商談の音声もしくは動画を収録しておき、自分で振り返り、確かめてください。「振り返り」を行うことで、自分自身の役割がどちらに傾いているのかがわかります。

例えば、次のようなことが判明するでしょう。

・あまりにも質問しすぎている場合=「コーチ」に偏っている

・教えたがっている、どうしてもその場で問題解決がしたいという「ティーチャー」や「コンサルタント」の役割に偏っている

自分自身の動画や音声を振り返ってみて、自分がどのような役割を果たしているのかを確認するという行為が一番オススメです。

役割の偏り、バランスを確認した後に適宜修正をかけていけば、役割がバランスよく発揮できます。結果的に成約率アップにつながるのです。

投稿者:
代表理事
小沼 勢矢

一般社団法人プロセールス協会代表理事。株式会社プロアライブ代表取締役。脳科学を活用したコンサルティングを8年で3,500人以上のクライアントに提供してきた。コロナ禍で営業に課題を抱えるクライアントが増加したことがきっかけで、脳科学を基にしたセールスメソッドを確立。価値あるサービスを世の中に上手く届けられずに困っている事業者様を支援したいという想いから、一般社団法人プロセールス協会を設立。 【出版実績】 自分の脳に合った勉強法(フォレスト出版) シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方(翻訳) シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方(翻訳)

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